オーストラリア留学&ワーキングホリデーサポート

オーストラリアで働く前に知っておくべき基本情報

オーストラリア労働事情

 

オーストラリアでの労働事情は日本とは異なります。オーストラリアで働く前に、労働者の権利および、責任について基本的なことを確認しておきましょう。

 

オーストラリアの労働基本法は、フェアワーク法(Fair Work Act 2009)と呼ばれ、労働条件の最低基準や不当解雇防止に関することなど、主に労働者を保護するための800の条からなる法律です。フェアワーク法は労働条件の最低基準を定めた、全国雇用基準(NES - National Employment Standards)を含んでいます。

 

このページでは留学生やワーキングホリデーの方々に大きく関係する部分だけを取り上げています。ワーキングホリデービザや学生ビザを取得した方は、オーストラリアでの就労が許可されておりますが、ビザによって就労可能な時間数や期間などに制限があります。詳しくは下のページをご参照ください。

 

労働条件の最低基準

労働時間

基本は最大で週38時間ですが、妥当な範囲内での時間外労働は認められています。また雇用者と従業員が互いに同意すれば、複数週の平均労働時間が38時間以内とすることも可能です。多くの会社では4週間で最大152時間としています。

 

年次有給休暇(Annual Leave)

年4週間(シフトワーカーは5週間)の有給休暇を取得できます。週5日の仕事を1年間続けると、20日間分の有給休暇(仮にまとめて休むと4週間となる)がたまる計算です。使わなかった有給は累積し、消滅することはありません。退職時にはその時の給料に応じて清算され支払われることになります。

ホリデー

有給ですから休暇中は当然給料が支払われるのですが、オーストラリアには Leave Loading と呼ばれる不思議な制度があります。休暇中に支払われる給料には、Leave Loadingとして基本給に17.5%追加された額が支払われるのです。この制度はどうやら古き良き時代のなごりのようで、仕事を休むことにより残業代を稼いだり、その他の手当てをもらう機会を逃す代償だそうです。Leave Loadingが与えられるかどうかは職種や雇用契約によります。


個人休暇(Personal Leave, Carer's Leave and Compassionate Leave)

従業員本人の病気・けがや、家族の病気・けがの介護休暇として、年次有給休暇とは別に年10日間の有給休暇を取得できます(Personal Leave / Care's Leave)。年次有給休暇と違い、雇用契約により別に取り決めがない限りは退職時に清算されません。一般的には Sick leaveとも呼ばれます。

 

また家族が命に係わる病気やけがを負った場合や死亡した場合は、その度に2日間までの有給休暇を取得することができます(Compassionate Leave)。

 

祝祭日(Public Holidays)

祝祭日(オーストラリアの祝祭日 参照)は休みとなりその分は給料も出ます。妥当と判断される場合は祝祭日の労働もあります。職種や雇用契約によりますが、祝祭日に働いた場合には基本給の2.5倍の給料が支払われることもあります。

 

フェアワーク・インフォメーション・ステートメント(Fair Work Information Statement)

雇用主は新規雇用の従業員にフェアワーク・インフォメーション・ステートメントを配布する義務があります。この文書には上に挙げた労働者の権利などが書かれています。詳しくは政府公式サイトからダウンロードすることができる Fair Work Information Statement(日本語版)をご確認ください。

 

雇用形態

オーストラリアで働く場合の雇用形態は下の3種類に大別されます。

  • フルタイム
  • パートタイム
  • カジュアル

フルタイム(Full-time)

週38時間以上の勤務が保障されており、上に記載された権利がすべて得られます。期限付きで雇用される有期契約(Fixed Term)の場合と、無期限契約(Permanent)の場合があります。Permanent Full-time のポジションが、日本でいうところの正社員に相当します。

 

busy cafe

パートタイム(Part-time)

フルタイムのような週38時間勤務の保障はなく、週あたりの勤務時間はフルタイムの従業員より短くなります。年次有給休暇や個人休暇は、勤務時間数に応じて日割り計算で累積していきます。仮に、フルタイムの従業員のように毎週38時間働き続けた場合は、フルタイムと同等の有給休暇が与えられます。

 

1日の最低勤務時間は3時間ですので、仮にお店が暇だからと言って3時間に満たない勤務でパートタイムスタッフが帰されてしまった場合でも、お店側は3時間の給料を支払う義務があります。

 

期限付きで雇用される有期契約(Fixed Term Part-time)の場合と、無期限契約(Permanent Part-time)の場合があります。

 

カジュアル(Casual)

勤務時間は一般的に不規則で時間数の保証もありませんし、フルタイムやパートタイムスタッフのような年次有給休暇や有給個人休暇はもらえません。また雇用契約が解消される場合、事前通知を必要としません。

 

そういった不利益を穴埋めする意味で、カジュアルスタッフの最低時給はフルタイムやパートタイムスタッフより、25%高く設定されています。

 

2017年2月現在のオーストラリアの最低賃金は時給$17.70です。カジュアルスタッフの場合は25%増しですので、最低時給は$22.125となります。

 

所得税

タックスリターン(Tax Return)

オーストラリアの会計年度は、7月1日から翌年の6月30日までです。年度が切り替わった際には、前年度分に得た所得を申告する必要があります。これをタックスリターン(Tax Return)と呼び、個人が責任を持ってこれを行う必要がありますが、ほとんどの場合は税理士に依頼します。都市部では日本人の税理士、会計士により日本語で対応してもらえますし、オンラインでも可能な日本語のサービスもありますので、どこにいても日本語によるタックスリターンの依頼が可能です。

所得税の計算

年度が切り替わる際に、雇用主からPAYG Payment Summaryと呼ばれる源泉徴収書のようなものを受け取ります。また年度の途中でも会社を辞める際には必ず発行してもらいます。ワーキングホリデーの場合には複数の雇用主のもとで働くのは珍しくありませんので、何枚もの Payment Summary を持つことになりますが、大事な書類ですのでなくさないように保管しましょう。

 

タックスリターンの際には、会計年度内に働いたすべての会社から発行される PAYG Payment Summaryと、利息収入などがあった場合には、銀行の明細(Bank Statement)が必要となります。

 

所得税率

居住者(2016~2017)

課税所得 税率
$0 ~ $18,200   0%
$18,201 ~ $37,000 19%
$37,001 ~ $80,000 32.5%
$80,001 ~ $180,000 37%
$180,001 ~ 45%

非居住者(2016~2017)

課税所得 税率
$0 ~ $80,000  32.5%
$80,001 ~ $180,000 37%
$180,001 ~ 45%

 

上の表をご覧いただくとお分かりの通り、所得税率は税務上の「居住者」と「非居住者」のどちらに該当するかによって大きく異なります。居住者の場合は年度内に得た所得の合計が$18,200以下であれば、天引きされた所得税がすべて戻ってきます。一方で、非居住者は最初の$1から32.5%の所得税がかかります。

 

「居住者」の意味は、オーストラリア政府の各省庁でも微妙に定義が異なり、移民局の定める居住者と税務局の定める居住者は同じではありません。税務局の定義に従うと、実は学生ビザとワーキングホリデービザの方は、ケースバイケースで「居住者」にも「非居住者」にもなり得ます。詳しくは、税理士さんにご確認ください。ここでは大まかな目安を示します。

Backpacker Tax
  • 6ヵ月以上のコースを申し込んだ留学生(学生ビザ)は居住者、コース期間がそれに満たなければ非居住者
  • ワーキングホリデービザの方で、オーストラリアに6ヵ月以上滞在し、そのほとんどの期間同じ場所に住み、地域コミュニティーとの結びつきが強い場合は居住者
  • ワーキングホリデービザでオーストラリアに6ヵ月以上滞在していても、その大半を旅行に費やし、様々な地域で働いていた場合は非居住者 

 


ワーキングホリデーの新税率

2016年9月27日の政府発表によると、2017年1月からは、居住者用と非居住者用の税率の他にワーキングホリデー用の税率が新設されることになりました。

 

ワーキングホリデーの新税率は、居住者のような非課税枠は無くなりますが、最低税率は非居住者ほど高くはありません。居住者と非居住者の中間的な位置づけとなります。

ワーキングホリデー(2017年1月~)

課税所得 税率
$0 ~ $37,000 15%
$37,001 ~ $80,000 32.5%
$80,001 ~ $180,000 37%
$180,001 ~ 45%

退職年金(Superannuation)

オーストラリアでは雇用主が従業員の年金ファンド(Superannuation Fund)の口座に定められた金額を支払います。月の給料が$450以上であれば、雇用主は給料とは別に、給料の9.5%分の年金を従業員の年金口座に支払う義務があります。

 

新規に採用された場合、雇用主にスーパーアニュエーションのファンド名やメンバー番号などを提示する必要がありますが、仮に口座を持っていなくても、雇用主側が指定する年金ファンドに新規で口座を開設し、そこにお金が振り込まれていきます。

 

年金口座は個人が管理するものですが、ワーキングホリデービザの方などでこの制度を良く知らない方などは、仕事が変わる度に新しい年金口座が増えてしまい、把握しきれなくなることもあります。学生ビザやワーホリビザの方で複数の年金口座を持つ方は、一つの口座にまとめるのが良いでしょう。

 

一般的にはこの口座からお金を引き出すには65歳以上でなくてはなりませんが、学生ビザやワーキングホリデービザの方で、オーストラリアから完全出国される場合には、積み立てたお金を引き出すことが可能です。税務税局のウェブサイトからオンライン申請が可能ですが、ほとんどの場合は、帰国の際に税金の手続きと一緒に税理士/会計士に依頼するのが普通です。

 

* 2016年現在、ワーキングホリデービザの人がオーストラリアから完全出国される際、積み立てたスーパーアニュエーションを引き出す時に38%の税金が課されますが、2017年7月1日以降は税率が65%に引き上げられます。

 

出勤初日に持って行くもの

普通は採用通知の際に案内がありますが、新しい雇用主のもとで働き始める際には以下のものを提示する必要があります。業種によってはこれ以外のものも必要ですので、雇用主に確認してください。

  • タックスファイルナンバー(申請中であれば、その旨を伝えればOK)
  • スーパーアニュエーション口座の詳細(無ければ雇用主が新規に開設します)
  • 給料振込用の銀行口座の詳細
  • パスポート
  • ビザ情報(ビザ発給通知など)*

* 詳しくは、発給後のビザ情報の確認方法のページを確認ください。

雇用条件

Tax File Number Declaration

出勤初日、あるいは最初の給料日までに「Tax file number declaration」という源泉徴収に関するフォームを雇用主から受け取るはずです。最初の給料日までに記入し雇用主に提出します。その後雇用主によって用紙はオーストラリア税務局(ATO - Australia Taxation Office)に提出されます。

 

Tax file number declaration フォーム記入方法

Section A」 を被雇用者が記入し、 「Section B」 を雇用主が記入します。

  1. What is your tax file number (TFN)? : あなたのタックスファイルナンバーは?

ここに9桁のタックスファイルナンバーを記入するか、以下に該当する場合はTFNを空欄にし、該当欄に「」印を入れます。

  • OR I have made a separate application/enquiry to the ATO for a new or existing TFN.: TFNを申請中あるいは、TFN紛失等で問い合わせ中
  • OR I am claiming an exemption because I am under 18 years of age and do not earn enough to pay tax.: 18歳未満で所得が低く控除の対象者(留学生/ワーホリの方には無関係です。)
  • OR I am claiming an exemption because I am in receipt of a pension, benefit or allowance.: 年金や手当を受けている控除の対象者(留学生/ワーホリの方には無関係です。)

  1. What is your name?
  • Title:該当するタイトルに「X」印を入れる。
  • Surname or family name: 姓/苗字
  • First given name: 名前
  • Other given names: 他の名前(無ければ空欄)

  1. If you have changed your name since you last dealt with the ATO, provide your previous family name.: 前回 ATOに書類等を提出してから名前が変わっている場合は、前の名前を記入してください。

  1. What is your date of birth?: 生年月日を記入してください。

 

  1. What is your home address in Australia?: オーストラリア国内の住所を記入してください。

 

  1. On what basis are you paid? (Select only one.): 雇用形態を選択してください。

該当するもの1つに「X」印を付けます。 * 不明な場合は雇用主に確認しましょう。

 

  1. Are you an Australian resident for tax purposes?: あなたは税法上の居住者ですか?

Yes / No 該当する方に「X」印を付けます。

* この項目はワーキングホリデービザの人にとって答えるのが難しい微妙な質問です。多くの人は「こちらが聞きたいくらいだ」とお思いのことでしょう。ワーキングホリデービザの方は原則的には非居住者なのですが、ケースバイケースで税法上の居住者にもなり得ます(オーストラリア税務局公式ページ Work out your tax residency 参照)。不明な場合は雇用主に確認してください。

ここで「Yes」にするか「No」にするかによって、給料から天引きされる金額が変わってきます。最終的にはタックスリターンの際に、多く払い過ぎた税金は戻ってくるはずですし、少なかった場合は差額を納めなければならないこともあります。

 

  1. Do you want to claim the tax-free threshold from this payer?: あなたはこの雇用主からの給料に非課税枠適用を希望しますか?

Yes / No 該当する方に「X」印を付けます。

7 の問いに「No」と答えた方は、こちらも自動的に「No」となります。7 の問いに「Yes」と答えた方、つまり税法上の居住者は、年収の$18,200分は非課税となります(2016年5月現在)。ここで「Yes」を選択した場合、この雇用主から支払われる給料に対する天引き額は、非課税枠を考慮したものとなります。つまり、「No」とするより手取り額が多くなるということです。ただし、最終的にはタックスリターンの際に、多く払い過ぎた分は還付され、少ない場合は差額を収めることになります。

複数の仕事を掛け持ちする場合は、給料の多い方の雇用主(本業)に提出するフォームを記入する際にこの項目を「Yes」とし、副業の方に提出するフォームにはこの項目を「No」とします。同じ会計年度内に転職した場合は、前職でこの項目にどう答えたのか、また前職での所得総額によって状況が変わりますので、不明な場合は雇用主に確認しましょう。

 

  1. Do you want to claim the seniors and pensioners tax offset by reducing the amount withheld from payments made to you? :高齢者、年金受給者の控除に関する質問です。ワーホリの方は「No」に「X」印をつけます。

 

  1. Do you want to claim a zone, overseas forces or invalid and invalid carer tax offset by reducing the amount withheld from payments made to you?: 「No」を選択します。ファームで働く方などは勤務地によっては、Zone tax offset(僻地税控除)が適用される場合もありますが、普通はタックスリターンの際に申請します。

 

  1. (a) Do you have a Higher Education Loan Program (HELP) or Trade Support Loan (TSL) debt? / (b) Do you have a Financial Supplement debt?: 学生ローン等に関する質問ですが、留学生・ワーホリの方はどちらも「No」を選択します。

 

Declaration by payee: I declare that the information I have given is true and correct.:

被雇用者による宣言: ここに記入した情報は真実で正確であることを宣言します。

 

You MUST SIGN here」 と書かれたボックスに署名をし、日付を記入して完成です。

 

Tax file number declaration

 

手取り額の算出方法

オーストラリアでは週給制、または2週毎の給料が一般的です。実際に受け取る手取り額は、所得税分を差し引いた額になりますが、その額は税務局(ATO)から発行される Tax Table に従って算出されます。Tax Table は、普通は会社の給料担当者(Payroll Staff)か経理担当者が使用するものですが、参考までに見方を簡単にご説明します。

 

例えば、週給制で時給21ドルの人が1週間に40時間働いたとします。その場合の税引き前の給料は、

 

$21 x 40 = $840

 

となります。まずは Tax Table の1列目の「Weekly earnings」が$840となる部分を探します。すると、2列目の「With tax-free threshold」の項目に$127とあり、3列目の「No tax-free threshold」の項目には$249と書かれています。これらは所得税分にあたりますが、上の「Tax file number declaration」の8番目の質問で、「Yes」と答えた場合は2列目の金額が適用され、「No」と答えた場合は3列目の金額が適用されます。つまり、

 

「Yes」の場合の手取り額: $840 - $127 = $713

「No」の場合の手取り額: $840 - $249 = $591

 

のように計算することができます。実際には、諸手当や諸費用の天引き等でこんなにシンプルには計算できないこともありますが、基本はこの手法で計算することができます。

* 2017年1月以降、この方法はワーキングホリデーの手取り額算出には該当しなくなりました。

Weekly Tax Table 2015 - 2016
Weekly Tax Table 2015 - 2016