建設現場での仕事
 
			オーストラリアの建設業のGDPに占める割合は9.5%(2025年8月現在)でサービス業、資源産業、製造業に続き第4位です。建設業就業者数は100万人以上に達し、医療福祉部門、小売部門に次いで第3位となっています。このように非常に大きな業界なのですが、日本人の留学生やワーキングホリデーで建設現場での仕事をしている人はごく少数です。一方でヨーロッパやアジアから訪れている多くのワーキングホリデーの人たちが建設現場で働いています。
建設現場で働く利点
建設現場での仕事は一般的に「きつい」、「汚い」、「危険」である3Kの仕事と言われ敬遠されがちですが、それを打ち消してなお余りある以下のような利点もあります。
ワーキングホリデーのセカンドビザ
セカンドビザの申請条件の中に、指定職業で3ヵ月以上働くこととありますが、指定職業はファームジョブばかりではありません。指定地域での建設現場の仕事でもこの条件を満たすことができます。またワーホリの就労条件として、同じ雇用主のもとで働けるのは6ヵ月までという決まりがありますが、北部オーストラリアにおいては、建設現場の仕事は最長12ヵ月まで伸ばすこともできます。詳しくは、ワーキングホリデービザのページをご覧ください。
高賃金
建設現場の一般作業員の平均収入は週$800前後です。場合によっては土日祝日などに働くことで、通常レートより高い時給が得られることもありますので、$800/週以上稼ぐこともそれほど難しくはありません。
労働時間
建設現場の始業時間と就業時間は現場や業種によってまちまちですが、一般的には朝は非常に早く、午後3時には帰宅できる場合もあります。明るいうちに帰れるので、午後は自分の趣味などに時間をあてられます。
リアルオージーライフ
日本人が多く働く観光業や接客業は、どちらかというとオーストラリアの表向きの顔、あるいはよそ行きの顔とも言えますが、建設現場での仕事ではオーストラリアの素顔に触れることができます。他ではなかなか味わうことのできない貴重な体験をすることができます。
建設現場で働くために必要なもの
ホワイトカード
オーストラリアの建設現場で働くにはホワイトカード(General Safety Induction Card)と呼ばれるカードが必要です。このカードは安全講習(通常1日)を修了した者が取得できる修了証のことです。詳しくは以下のページをご確認ください。
安全衛生保護具/個人用保護具(PPE)
 
			建設現場で働くには適切な安全衛生保護具を身につける必要があります。オーストラリアでは、Personal Protective Equipment(PPE)- 個人用保護具 と呼ばれており、各現場や職種によって、どのようなタイプのPPEを身につける必要があるのかが細かく規定されています。一般的には以下のものがほぼ必須です。
蛍光シャツ/ベスト
一般的な建設現場では安全確保のため蛍光シャツか蛍光ベストの着用が義務付けられています。蛍光イエローや蛍光オレンジが一般的で、蛍光ピンクなどもあります。英語では、High Visibility Shirt(高視認性シャツ)や略して Hi-Vis Shirt(ハイビズ・シャツ)などと呼ばれています。
安全靴
英語では、Safety Boots と呼ばれています。また、つま先部に鉄芯が入っているものは特に、Steel Capped Boots とも呼ばれます。安全靴には色々な種類があり、スニーカータイプやブーツタイプ、長靴タイプのものもあります。またくつ紐のあるものや無いものもあります。大手建設会社の現場や鉱山の現場では種類の指定までされることもあります。
ヘルメット
落下物の恐れがある現場では着用が義務付けられています。オーストラリアは日差しが強いため、日焼けを防ぐためにヘルメットに円盤状のつばを取り付けることもあります。ヘルメットには使用期限があり、厳しい現場ではそこまでチェックされることもあります。英語でもHelmetで通じますが、Hard Hat(ハードハット)や単にHat(ハット)と呼ばれることが多いです。
手袋
作業用の手袋(Gloves)にもいろいろな種類がありますが、作業の種類に応じて適切なものを使用する必要があります。
保護メガネ/ゴーグル
作業の種類にもよりますが、ほとんどのケースで保護メガネ/ゴーグル(Safety Glasses, Goggles)の着用が必要となります。オーストラリアは日差しが強いためサングラスの役割も兼ねているものが多いです。
耳栓
一般的には耳栓(Ear Plugs)が広く利用されていますが、職種によってはイヤーマフ(Ear Muff)を着用することもあります。
マスク
作業内容によっては防塵マスク(Dust Mask, Respirator)を着用する必要がある場合もあります。色々なタイプがありますので、作業に応じて適切なものを選ぶ必要があります。
日焼け止め
屋外の仕事には必需品です。汗で流れ落ちてしまいますので面倒がらずに繰り返し塗ることが重要です。
以上のものは、会社によってはすべて支給してくれる場合もありますが、安全靴、作業着(蛍光シャツ)はだいたい自前で、場合によっては保護メガネ、ヘルメットも自前になります。PPEの専門店もありますが、かなり割高ですので、Kmart、Target、Big Wなどのディスカウントストアで購入するという選択肢もあります。
服装
作業着もPPEに入りますが、どのような服装が適切かは現場や作業の内容によって異なります。安全に対する意識の高い現場や危険度の高い現場は、原則、長袖長ズボンですが、そうでなければ半袖半ズボンが許される場合もあります。オーストラリアの作業着は日本のものと比較するとかなり厚手です。ジーンズは作業着として定着しており、上は蛍光シャツ、下はジーパンという組み合わせは割とよく見かけます。
その他
車/運転免許証
必須ではありませんが、あった方が仕事をゲットするチャンスは広がります。車を持っていなくても、事務所からみんなで会社の車に乗って現場に移動するケースもあります。建設関係の車はマニュアル車が多いので、オートマ限定は敬遠されます。
水筒
屋外での仕事には水分補給は欠かせません。給水機が設置された現場などもありますが、自分の手の届く範囲にスポーツボトルなどを常に置いて脱水症状を防ぎましょう。
弁当/ランチ
日本のようにコンビニ弁当が手軽に買えるわけではありませんので、自分で用意する必要があります。 大きな現場では、ランチタイムになるとスモコ・バン(Smoko Van)と呼ばれる軽食やドリンクを売って回る車が来る場合もあり、そこで購入することもできます。
体力
熟練の作業員や資格を持った作業員の場合は、それほど体力を使わない仕事もありますが、一般の現場作業員はやはり体力仕事です。特に炎天下の仕事は内容に関わらず体力の消耗が激しいので、体力に自信のない人にはお勧めできません。
建設現場で使われる英語
建設現場で働くには最低限の英語力が必要であるのは言うまでもありません。特に建設現場では危険を伴う作業が多いため、コミュニケーションがしっかりとれないと自分の安全や周囲の人の安全を脅かす危険もあります。
英語面において他の業種と若干異なるのは、建設現場ではスラングや汚い言葉が日常的に飛び交っていることです。日本で建設・土木関係の仕事をしたことのある人であれば、割とすんなり受け入れられるかもしれませんが、免疫のない人には少し抵抗があるかもしれません。
 
			観光業や接客業などで働く人たちは、相手に聞き取りやすく話す習慣が身についているものですが、建設現場では事情が異なります。早口や強いアクセントなど、聞き手に対する配慮が足りないのではないかと思えてしまうような話し方をする人がたくさんいます。その上さらに、現場では重機、発電機、電動工具など、大きな音を出すものがたくさんありますので、その騒音で状況はさらに悪化します。英語上級者であっても自信を無くしてしまう過酷な状況かもしれません。
会話の中に知らない単語が1つ出てきたとしても、後でその意味を質問するなどして対応することができますが、知らない単語が2つ以上出てきてしまうと、そこで頭の中が真っ白になり、会話についていけなくなってしまうことはよくあります。できるだけそういうことにならないよう、現場でよく使われる単語はある程度覚えておいた方がよいでしょう。以下にその一部をご紹介します。
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WHS / OHS
建設現場での仕事に関わらず、オーストラリアで働くと必ず一度は耳にする言葉だと思います。WHSはWorkplace Health & Safety (ワークプレイス・ヘルス・アンド・セーフティー)の略、OHSは Occupational Health & Safety(オキュペーショナル・ヘルス・アンド・セーフティー)の略で、どちらも同じ意味で用いられます。日本で言うところの労働安全衛生のことです。
Site Induction
一般の住宅を除く建設現場では、そこで作業を開始する前に必ず現場の安全に関するオリエンテーションを受ける必要があり、それを Site Induction(サイト・インダクション)、または単に Induction(インダクション)と呼んでいます。簡略化のために単にチェックリスト的なものを読んで、それにサインするだけのこともあります。インダクションを受けた後は、毎日現場に入るときと出るときにサイン・シートにサインする必要があります。
Tradesman
建設現場では Tradesman(トレイズマン) がたくさん働いています。 しっくりくる日本語訳がなかなかありませんが、配管工(Plumber)やタイル職人(Tiler)、ペンキ屋(Painter)などの職人、あるいは熟練工のことを総称した呼び名です。俗にTradie(トレイディー)とも呼ばれています。
Apprentice
Tradesman(トレイズマン)になるためには、 見習い制度(Apprenticeship)を利用し、見習い(Apprentice アプレンティス)として実務経験を積む必要があります。この見習い制度は、政府によりきっちり制度化されており、アプレンティスは給料をもらいながら実務経験を積むと同時に、TAFEなどの職業訓練校で専門知識を学びます。
Sparky, Chippy
電気工事士は Electrician(エレクトリシャン)ですが、オーストラリアでは、Sparky(スパーキー)と呼ばれることもあります。また大工はCarpenter(カーペンター)ですが、Chippy(チッピー)と呼ばれることもあります。
Boilermaker
もともとの意味は文字通りボイラーを作る人だったのですが、今ではもっと広い意味に使われており、鉄骨溶接工を意味します。ビルや倉庫、橋などの鉄骨を組んだりするのはボイラーメーカーの仕事です。
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